高麗青磁　礼賓三島象嵌漢字文鉢

高麗時代後期に焼かれた希少な三島の鉢。
高台を除く内外全面に三島（印判）による象嵌が施されます。
内側は見込みに蝶文、その外に連珠文、菊花文、草花文と続きます。
外面は下から菊花文、連珠文、最端には雷文です。
そして注目すべきは漢字文で「長興庫納金山」描かれていることです。
「長興庫」は韓国南部慶尚道などに設置された布や紙を保管する国家正倉機関であり、官で使用する陶磁器に窃取されないよう刻みました。
「金山」は地名でありこの土地で作られたものが納められたという表記であると考えられます。
このような銘入りの三島は日本においては賓客の為の「礼賓三島」と称し、高麗物として珍重されたと言われています。
整った器形で底から口にかけて薄くなり、口でやや端反りになるような作りでとても丁寧な逸品です。

全体に光沢があり綺麗な状態です。外面に一箇所「長」の字の下部にニュウ（亀裂）がございますが内面まで貫通はしておりません。