高麗 青磁陽刻蓮弁文筒形碗

高麗時代に作られた青磁碗です。
筒形の胴は中腹で膨らみカーブしており、口は上から見るとやや楕円形で味わいがあります。
胴には蓮の花びらが16弁、間に16弁の合計32弁が陽刻にて施されます。
蓮弁は中央が盛り上がり、触るとはっきりと凹凸を感じます。
釉薬の透けによって立体的になり、特に花弁の先は深く切り込みがされ釉薬が溜まり濃い発色となります。
全体には鮮やかな高麗の青磁釉が掛けられ、１２世紀ごろを代表高麗青磁の釉調であり、釉薬は細かい貫入が入ります。
釉薬の色は不揃いで四分の１くらいの釉面が少し黒く変色しており、当時の温度が安定していないの窯で焼いた味わいがしっかりとわかります。
数箇所ある黒い点は窯の中で釉薬中の溶けてない鉄分によるものであり、これも古い窯の証です。
高台は設置面まで釉薬が施される総釉で、底に高麗特有の大きな３点の石目跡が残ります。
この手の筒形碗でここまで艶があり、器胎が大きく、蓮弁がくっきりと刻まれる品は少なくとても希少な品になります。

口には１箇所、樹脂による直しがこざいます。（高4mm 幅10mm程度）
他には目立つ瑕疵（キズ）がなく全体に光沢があり綺麗な状態です。