高麗 青磁象嵌菊花文筒茶碗

高麗時代に焼かれた青磁の茶碗。
日本の湯呑みに近い形状であり、もともと朝鮮では人参等などを飲む薬碗であったと考えられます。
日本へは室町時代の侘茶勃興期に入り、筒状の茶碗は口が狭く熱が逃げにくいため、冬場の茶室で使われていました。
胴に３点丸に囲まれた菊花文が象嵌にて施され、花の中央には希少な辰砂が使用されています。
奇数に配置するのは朝鮮半島ならではの意匠です。
ぐるりと一周口縁部には雷文、下部には蓮弁文が施され、胴の隙間を唐草文を埋め、器面一杯の贅沢な象嵌です。
高台は細い輪高台で、石目跡が３点残されます。
釉薬は高麗後期に近いやや色鮮やかな灰青色の青磁釉がかけられます。
筒形茶碗は数も少ないですが、高麗青磁のコレクターなら入手したい形の一つです。

虫食い（釉薬の剥がれ）がございますが焼成時のものでキズではございません。全体に光沢があり綺麗な状態です。