高麗 青磁象嵌菊花文瓜形壺

高麗時代後期に焼かれた壺。
背の低く横に広がり、口が水平方向に窄まります。
胴は縦方向に８本の筋が入る瓜形で、分けられた８面には白黒の象嵌にて３輪の菊花が施されます。
菊花文は象嵌の中では主流の衣装ですが、枝葉まで描かれているのは意外にも少数です。
肩には一周ぐるりと如意頭文が描かれ境界線として器面にメリハリをつけます。
高台には5点の石目跡を残し、畳付けを除く全面に失透性の青磁釉が厚く施されます。
口が窄まった壺は熱が逃げにくいとされ、蓋を設けることで保温するための容器に使われたものと考えられます。

全体に表面にカセと若干の変色がございますが、一部にしっとりとした光沢があり良い風合いです。目立つ傷はございませんが黒象嵌に焼成時のハゼがございます。