【骨董品・古美術】天目茶碗とは?特徴や価値

「天目茶碗」は古陶磁でも日本人の知名度が高く、中でも国宝となっている曜変天目は美術館の展示でも大変人気です。天目茶碗の中には他にも油滴天目や禾目天目もございますので、詳しく解説させていただきます。

天目茶碗の基礎知識

天目茶碗(てんもくちゃわん)は主に中国の宋代(960年 - 1279年)に福建省建陽県水吉鎮にあった建窯を中心に焼かれていた茶碗です。
建窯で作られていたことから中国では建盞(けんさん)と呼ばれます。

禾目天目茶碗
<南宋 禾目天目茶碗>



日本に伝わったのは鎌倉時代(1185年 – 1333年)であり、中国の天目山へ僧がが留学した際に寺で使用されていた茶碗を持ち帰ったことが始まりで、そのことから天目茶碗と呼ばれるようになります。
持ち帰った茶碗は黒色や褐色であったことから、このような色をした釉薬は同時に「天目釉」と呼ばれます。

天目茶碗の特徴

天目茶碗は束口碗と呼ばれ、底が細くしまった口が開き口縁下にスッポン形のようにくびれがついております。このくびれは茶を立てる時に跳ねることを防ぐためや、茶の保温性を保つためと言われております。

束口碗のくびれ
<天目茶碗の口縁部のくびれ>


高台は低い輪高台であり胴の大きさから比べると小さいため、安定性に欠けることから天目台などの専用の台に乗せて使われていました。
土はねっとりとした黒いものを使用しておりました。

天目茶碗の輪高台
<天目茶碗の輪高台>


口縁部には口当たりを良くするために銀などの合金で作られた覆輪(ふくりん)をつけることもございます。

天目茶碗はこの時期に流行した闘茶(とうちゃ)で使用するために作られていたと言われております。
このころのお茶は色が白く、それを際立てるために天目茶碗は本来は真っ黒を目指して作られた茶碗です。
そのため、釉薬は長石と石灰岩、鉄イオンを原料とし、黒色に発色をするように調整がされています。
釉薬は厚めにたっぷりと掛けるのも特徴で、高台脇に釉薬が流れ溜まります。
施釉位置がやや高く土見せを大きくとるのも特徴です。

高台脇の釉溜まり
<天目茶碗の釉溜まり>

特別な天目茶碗

黒釉は、焼き上げる工程で黒釉の成分が分離し、独特の発色や模様が出ることがございました。
その模様は様々であり、禾目天目(のぎめてんもく)や油滴天目(ゆてきてんもく)、曜変天目(ようへんてんもく)などと呼ばれるようになります。

曜変天目茶碗
<曜変天目茶碗 出典:陶磁オンライン美術館


黒色の釉面に褐色の縦筋の模様が稲穂のように見える「禾目天目」、黒い釉面に水の上に浮かぶ油の滴のような斑紋ができる「油滴天目」、大小の輝く星のような虹彩が幻想的な国宝に指定されている「曜変天目」と多種多少です。

油滴天目茶碗
<油滴天目茶碗 出典:陶磁オンライン美術館


これらは全てほとんど変わらない成分の釉薬からできているのに、窯変現象により姿を変えるのはとても不思議です。
当時の窯は酸素量や温度のコントロールが難しく、陶工の技術と偶然の力合わさった奇跡の品です。

ちなみに、焼造の難しさから一番価値が高いのが曜変天目であり、その次に油滴天目、禾目天目と続きます。

吉州窯や磁州窯の天目茶碗

天目茶碗と言えば建窯が有名ですが、当時の中国では近隣の窯でも鉄釉を使った茶碗が作られておりました。
中でも現在の江西省吉安県あった吉州窯、黒釉と黄色釉薬を二重掛けし人為的に模様を作る天目を生産しており、日本でも名のある天目として残されています。
型を使い梅花や鳳凰の絵を描く「玳玻天目"鸞天目"(たいひてんもくらんてんもく)」や不規則に筆を用いて描く「玳玻天目"鼈甲盞"たいひてんもくべっこうさん)」、木の葉を型の代わりにした「木の葉天目(このはてんもく)」などがございます。
また、磁州窯(じしゅうよう)では華北の白い乾いた土に鉄釉を掛け茶碗が作られていましたが、完全な建窯の模倣ではなく、磁州窯の特徴と組み合わせた天目です。

磁州窯の天目茶碗
<磁州窯系の天目茶碗は土が白い>

日本の天目茶碗

日本では鎌倉時代にはじめて天目茶碗が請来し、室町時代に「曜変」や「油滴」などの建盞が室礼や喫茶のために用いられました。
室町時代の末期には侘茶道具として釉薬を二重掛けした「灰被天目(はいかつぎてんもく)」が脚光を浴び、江戸時代になると格式高いものとして保有されます。

日本で天目茶碗が本格的に生産され始めるのは室町時代で、茶人の重要が高まり、瀬戸・美濃窯で灰被天目を模倣して国内生産が行われるようになりました。
黄釉の上に褐釉を掛け垂れる模様が菊のように見える「菊花天目(きっかてんもく)」や徳川家所蔵であった灰釉を施した白い器胎の「白天目(しろてんもく)」などがございます。

美濃窯の菊花天目茶碗
<美濃窯の菊花天目茶碗 出典:陶磁オンライン美術館



天目茶碗は短い歴史の中で爆発的な人気を誇った茶碗です。各時代や現代においても陶芸家でも真似て作り続けられるほどの人気です。

 

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