骨董品の陶磁器をコレクションするポイント|初心者向けにおすすめや買い方を解説します
骨董品の陶磁器に興味をもって買ってみたいけど、何から揃えたらいいのだろう?
陶磁器にはどういったものがあるのだろう?
そう思っている方は多くいると思います。
自分が気に入ったものを直感で買うのが一番ですが、偽物を買ったり損をしたくないという思いもあると思います。
そこで、今回は初めて古美術品や骨董品を買う方にどういった種類があるのか、どういう方法に購入するのが良いのか、陶磁器の専門店の目線でお教えいたします。
美術品(アート)なのでインテリアなど飾る場所との調和を考えても面白いですね。
陶磁器のコレクターにはどういった人がいるのか
陶磁器の骨董品のコレクターには様々な人がいます。
幅広く陶磁器を集めている人もいれば、特定の国の品だけを集める人、特定のジャンルだけのものを集める人など多種多様でルールなんてありません。
中国の均整の取れた優美な陶磁器が好きな人もいれば、朝鮮(韓国)の素朴な陶磁器を好む人、日本の陶磁器の侘びな雰囲気に惚れている人もいます。
茶道を好きな人は茶碗や茶道具だけを集める人、お花の先生は花生や瓶などを国問わず集めています。
コレクターは何かに魅了されてみんな集めているのです。
陶磁器を国から集めてみる
陶磁器は国ごとに特徴が大きく違い、気に入った国で集めるのもお勧めです。
人気のある中国陶磁、朝鮮陶磁、日本陶磁をご紹介いたします。
中国陶磁
中国陶磁は陶磁器の祖と言っても過言でなく、古陶磁としての歴史は1400年以上にも渡ります。
その時代時代で特徴が違うので一概に括ることはできませんが、中国の青磁は均整がとれ、装飾なども細かく美しい優美なのが特徴です。
特に有名なものの一つは宋時代の青磁で、龍泉窯や官窯などがございます。
青緑色の釉薬に美しい貫入が入り、シンプルな器形にガラス質が輝く姿は宝石のように美しいです。
同じく宋時代に点茶が流行したことにより茶器が多く作られ、釉薬の変化による模様が美しい天目茶碗などは有名です。
これらの陶磁器は鎌倉時代から室町時代に日本に輸入され大名に珍重されました。
そして現代でも大変人気がありコレクターも多い陶磁器です。
他には明時代から新時代の白磁が人気であり、中国の白磁は真白な器面で透き通るような美しさです。
その白磁に青い顔料で絵が描かれた「青花(染付)」も美しく、景徳鎮(けいとくちん)窯の品は今でも人気です。
中国の気品に溢れる陶磁器は木の美しい家具だけでなく、大理石や金属などの硬質な家具にも調和いたします。
中国陶磁は宋代(12世紀)の質の良いもので10万円~20万円程度から、清朝(17世紀)のものなら8万円くらいから入手することができます。
朝鮮陶磁
朝鮮の陶磁器は中国と隣接していることで影響を強く受け、そしてそれを独自に進化をさせた陶磁器が多くございます。
高麗時代と李氏朝鮮時代により陶磁器の種類が大きく分かれます。
高麗時代の高麗青磁では中国でも流行していた青磁を朝鮮独自の技法で作っておりました。
象嵌と呼ばれる装飾技法を用い器面に白黒の模様を描き、華美な青磁は中国にはない良さで人気がございます。
また、李氏朝鮮時代になると青磁から粉青沙器に主流が移り、ざらっとした土で素朴なものが多くなります。
その雰囲気が安土桃山時代の茶の湯である「侘び」にかなうものとして日本でも大変珍重され、高麗茶碗と呼ばれました。
日本製の陶磁器へも多くの影響を及ぼし、日本人の文化にも馴染みやすく、今でも人気がございます。
朝鮮陶磁は日本に多く輸入されており、比較的お値段が安いため陶磁器の収集の最初としては大変おすすめです。
高麗時代の青磁は煌びやかで大理石や艶やかな木製の家具と相性が良く、李氏朝鮮時代の素朴な雰囲気はナチュラルな木や和の雰囲気の家具に映えます。
朝鮮陶磁は比較的安く3万円~7万円くらいで購入できるものが多くございます。
日本陶磁
日本の陶磁器の歴史も古く縄文時代の土器から続きますが、骨董品としての人気が高いのは室町時代~安土桃山時代と江戸時代~明治時代のものになります。
室町時代から安土桃山時代中国や朝鮮半島の影響を受け、茶の湯で使う日本独自の焼き物が作られました。
千利休好みとされる「侘び」を意識した陶磁器は質素で素朴なものが多く作られ、美濃窯や瀬戸窯などの陶器が今でも茶道で人気です。
安土桃山時代後期から江戸時代初期になると織部焼や唐津焼など、その時代の茶人によるの日本独自の陶磁器が焼かれるようになり、現代でも続くようになるほど人気を博します。
江戸時代以降には有田焼や九谷焼といった絵付の磁器が生産されるようになり、柿右衛門様式や鍋島焼などは大変人気と価値が高いものです。
日本陶磁は江戸時代や安土桃山のものは希少価値もあり高価ですが、明治時代以降のものは比較的安く、無名の作家ものであれば1万円程度で買えるものもございます。
陶磁器を目的やジャンルから集めてみよう
陶磁器を目的で購入する人も多く、特に茶道、書道などの日本文化から陶磁器を探すのも一つの方法です。
お花が好きな人は現代のものと違った骨董品ならではの瓶にお花を生けてみるのもいいと思います。
ほかにもお酒が好きな人は徳利やお猪口といった酒器や小皿など、実用面からコレクションする方もいます。
茶道具
茶道は鎌倉時代の古くからある文化ですが、今日本で根付いている茶道は安土桃山時代から江戸時代初期の作法です。
よく使われていた中国の天目茶碗や朝鮮の高麗茶碗、日本の志野茶碗や唐津焼などが特に人気です。
茶道はそのほかにも、陶磁器であれば水を溜めておく水指や、床の間に飾る花瓶、菓子器などもございます。
実用したいのであれば、きれいなものを選ぶ必要がございます。
書道具
書道は中国、朝鮮、日本ともに古くからある文化です。特に朝鮮では書道の流行があり、そのための道具が多く作られました。
陶磁器の書道具で代表的なものは、筆を洗うための筆洗や筆を立てるための筆筒、硯に水を入れるて目の水盂(すいう)や水滴がございます。
書道具は口に含むものでないので自由度が高い形のものが多く、展示をするだけでも楽しめるため大変おすすめです。
花瓶・花生
花を生ける文化は中国も朝鮮もあり、古くから瓶は作られています。
瓶にも形は様々あり、元々は酒や水を入れる用途のものであっても、花瓶として使っても何ら問題はありません。
骨董品ならではの現代では作られないような形や柄の瓶がたくさんありますので、骨董品集めとしては大変楽しめるジャンルです。
中国の青磁などはシンプルな見た目によりお花が良く映えます。
酒器
骨董品コレクターのなかでも多いのが酒器コレクターです。
酒器は中国・朝鮮の時代に酒用の瓶が多く作られています。
梅瓶と呼ばれる形は中国で生まれたと言われています。
比較的近代になると徳利といった飲みきるための酒器も作られるようになります。
お気に入りの酒器を眺めながらお酒を飲むのも楽しいですし、お酒の席で自分のコレクションを少し自慢してみたりも面白いです。
初心者におすすめの骨董品
初心者に買いやすい骨董品として比較的おすすめなものは、明治時代末以降の日本製の陶磁器です。
この頃の陶磁器は流通量が多く、無名の作家のものであれば金額もとても安く入手がしやすくなっています。
伊万里焼や鍋島焼、九谷焼などの染付や色絵磁器は皿、湯呑み、徳利などが様々なお店で買えます。
他にも金額的におすすめなのは朝鮮半島の陶磁器です。
朝鮮半島の特に高麗時代後期から李氏朝鮮時代の陶磁器は、日本の安土桃山時代から江戸時代に多く輸入されており伝世いたしました。
当時、中国陶磁に比べ朝鮮陶磁は元々安く輸入されており、現代においてもさほど高いものはありません。
中国陶磁に比べ良い意味で素朴な作りであり、安土桃山時代の侘茶に叶うものとして珍重されました。
そのため、朝鮮当時は日本の文化に馴染みやすい雰囲気であり、実際に日本の多くの名窯は朝鮮の陶工の技術から始まっているものもございます。
青磁に象嵌という模様で描いた「朝鮮青磁」や茶の湯で人気の高かった「高麗茶碗」が人気がございます。
自分のほしいと思ったものを買うのが一番
骨董品は古いものとして価値が高いのか?偽物なのか、本物なのか?というような金銭的な価値をどうしても意識してしまいます。
実際に安い金額で良いものを掴むなど一攫千金を狙っている人も多いのは事実です。
しかし、こういった方も10個、20個は購入をし失敗を繰り返したものです、初めから目指すものではありません。
そのため、これから骨董品を初めて買おうと思っている人は、価値がどうこうよりも「自分が欲しいと思ったものが買っても良いと思える値段なのか」ということを考えて購入することから始めてみて下さい。
当店「燦禾」では美麗な陶磁器が豊富な取り揃え
当店では中国・朝鮮半島の骨董品をたくさん取り揃えています。
茶碗・瓶・青磁・水滴など全て一点ものです。
様々な種類の陶磁器の中からお気に入りの一品を探してみてください。